厚生労働省「散骨に関するガイドライン」とは|8項目を解説

海洋散骨2024年07月01日

厚生労働省の「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」は、令和2年度厚生労働科学特別研究事業「墓地埋葬をめぐる現状と課題の調査研究」の研究報告書として、2021年3月にまとめられたものです。

法律ではありません。罰則もありません。 それでも重要なのは、散骨について国がまとまった形で示した文書がこれ以外にないからです。業者を選ぶとき、この8項目を満たしているかどうかが、そのまま判断基準になります。

原本のPDFはこちらです。
厚生労働省「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」(PDF)

この記事でわかること

  • ガイドラインの法的な位置づけ(守らないとどうなるのか)
  • 散骨事業者に求められる8項目の中身
  • 利用者が業者を選ぶときの使い方

私たちは山口県周南市で周南海洋散骨センターを運営しています。自分たちが守るべき基準なので、原文にあたって整理しました。

ガイドラインは法律ですか?守らないと罰則がありますか?

法律ではありません。罰則もありません。

正式には、厚生労働科学研究の研究報告書に収められたガイドラインです。国会で成立した法律でも、省令でも、通達でもありません。

では意味がないのかというと、そうではありません。理由は2つあります。

1つ目は、散骨に関する国の文書がこれしかないこと。 散骨そのものを直接定めた法律は存在せず、平成10年の懇談会報告書では「各地方の実情を踏まえて、地方自治体の条例で定めることが適当」と結論づけられています。国は判断を自治体に委ねており、その中で唯一、具体的な基準を示したのがこのガイドラインです。

2つ目は、条例がこれを下敷きにしていること。 散骨を規制する条例を設けている自治体は全国で16あります(一般財団法人地方自治研究機構調べ・令和7年11月1日時点)。条例のある地域では、条例が優先します。

そしてガイドライン自身が、冒頭でこう定めています。

散骨事業者は、散骨を行うに当たっては、墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)、刑法(明治40年法律第45号)、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)、海上運送法(昭和24年法律第187号)、民法(明治29年法律第89号)等の関係法令、地方公共団体の条例、ガイドライン等を遵守すること。

つまり、ガイドラインに罰則はなくても、そこで挙げられている法律や条例には罰則があります。

ガイドラインは「散骨」をどう定義していますか?

定義はこうです。

墓埋法に基づき適法に火葬された後、その焼骨を粉状に砕き、墓埋法が想定する埋蔵又は収蔵以外の方法で、陸地又は水面に散布し、又は投下する行為

3つの条件が読み取れます。

  • 適法に火葬されたあとの焼骨であること
  • 粉状に砕いてあること
  • 埋蔵・収蔵以外の方法で撒く、または投下すること

「陸地又は水面」とあるとおり、海だけの話ではありません。 山への散骨も同じガイドラインの対象です。

あわせて、散骨事業者は「業として散骨を行う者」、散骨関係団体は「散骨事業者を会員とする団体」と定義されています。

散骨事業者に求められる8項目

ガイドラインの第3章が「散骨事業者に関する事項」で、(1)から(8)までの8項目が並びます。

厚労省ガイドラインが散骨事業者に求める8項目

順に見ていきます。

(1) 法令等の遵守

前述のとおり、墓埋法・刑法・廃棄物処理法・海上運送法・民法などの関係法令と、地方公共団体の条例を守ること。

海上運送法が入っている点は見落とされがちです。お客様を船に乗せて海へ出る以上、旅客輸送のルールがかかります。

(2) 散骨を行う場所

① 陸上の場合 あらかじめ特定した区域(河川及び湖沼を除く。)
② 海洋の場合 海岸から一定の距離以上離れた海域(地理条件、利用状況等の実情を踏まえ適切な距離を設定する。)

陸上は「あらかじめ特定した区域」。思いついた場所で撒くのではなく、事前に決めておくことが求められます。そして河川と湖沼は除外されています。「川に流す」はガイドラインの外です。

海洋については「海岸から一定の距離以上」とだけあり、具体的な距離は書かれていません。 「地理条件、利用状況等の実情を踏まえ適切な距離を設定する」とされており、事業者の判断に委ねられています。ここは業者に直接尋ねるべき点です。

(3) 焼骨の形状

焼骨は、その形状を視認できないよう粉状に砕くこと。

「視認できないよう」という表現が使われています。少し砕いた程度では足りません。骨とわかる形が残っていると、見つけた方が事件と考えて通報する可能性もあります。

粉骨については粉骨とは?費用と方法、依頼のしかたで詳しく説明しています。

(4) 関係者への配慮

地域住民、周辺の土地所有者、漁業者等の関係者の利益、宗教感情等を害することのないよう、十分に配慮すること。

漁業者が明記されています。海洋散骨では、漁場や養殖場との位置関係が問題になります。地元の海を知らない業者が、漁協と話をつけずに出航しているケースは実際にあります。

(5) 自然環境への配慮

プラスチック、ビニール等を原材料とする副葬品等を投下するなど、自然環境に悪影響を及ぼすような行為は行わないこと。

花束のラッピング、リボン、造花が該当します。献花をする以上、ここは必ず確認が要ります。当センターでは、包装を外した花のみを海に還しています。

(6) 利用者との契約等

もっとも分量が割かれている項目で、5つの細目があります。

細目 内容
① 約款の整備 契約内容を明記した約款を整備・公表し、求めがあれば提示する
② 契約内容の選択 約款に定める方法により、利用者の選択に応じる
③ 契約の締結 必要な教育訓練を受けた職員が説明し、十分な理解を得る。契約は文書で。費用の明細書を契約書に添付
④ 契約の解約 約款に定めるところにより、解約の申し出に応じる
⑤ 散骨証明書 散骨後、散骨を行ったことを証する散骨証明書を作成し、交付する

利用者にとって、いちばん使える項目がここです。

  • 約款を公表していない業者は、この時点でガイドラインを満たしていません
  • 費用は明細書を契約書に添付するのが基準です。「一式いくら」だけの見積もりは基準以下です
  • 散骨証明書は必ず受け取れます。 出さない業者には請求してください

(7) 安全の確保

① 陸上の場合 歩道、安全柵等、必要な施設の設置等
② 海洋の場合 必要な教育訓練を受けた従事者及び補助者の配置、ライフジャケット等の安全装具の確保等

海洋散骨は船に乗ります。波の高い日にご高齢の方が乗船されることもあります。ライフジャケットが人数分あるかは、当日その場で確認できます。

(8) 散骨の実施状況の公表

自らの散骨の実施状況(散骨の件数、散骨の場所等)を年度ごとに取りまとめ、自社のホームページ等で公表すること。

あわせて「亡くなった人を含め、個人情報の取り扱いには十分に配慮すること」とも書かれています。

「教育訓練を受けた職員」とは、何を指しますか?

ガイドラインには2か所で「教育訓練」が出てきます。

  • (6)③契約の締結:「必要な教育訓練を受けた職員にあらかじめ適切な説明を行わせ、利用者の十分な理解を得ること」
  • (7)②安全の確保:「必要な教育訓練を受けた従事者及び補助者の配置」

つまり、契約の説明をする人と、船上で作業する人の両方に教育訓練が求められています。

ただし、どんな訓練を、どれだけ受ければよいのかは書かれていません。 公的な資格制度も存在しません。ここはガイドラインの弱いところで、事業者ごとの解釈に委ねられているのが実情です。

第4章では、散骨関係団体の役割として「会員事業者やその職員に対する研修会の開催等、散骨が適切に行われるための取組みに努めること」が挙げられています。業界団体の研修が、事実上その受け皿になっています。

利用者は、このガイドラインをどう使えばよいですか?

業者選びのチェックリストとして使えます。 8項目のうち、外から確認できるものを抜き出しました。

散骨業者を選ぶときの確認項目

見学や問い合わせのときに、そのまま聞いていただいて構いません。答えられない業者は、ガイドラインを読んでいない可能性があります。

周南海洋散骨センターの対応

私たちは瀬戸内海での散骨をお手伝いしています。上記に沿って、次のとおり運営しています。

  • 契約は書面で行い、費用の明細書を添付します
  • 散骨後に散骨証明書をお渡しします
  • 献花は包装を外した花のみを海に還します
  • ライフジャケットは乗船人数分を確保しています
  • 焼骨は視認できない粉状にしたうえで散骨します(粉骨のみのご依頼も承ります)

散骨の流れと費用は海洋散骨とは?費用・流れ・注意点、山口県内の海域については山口県の海洋散骨をご覧ください。

よくあるご質問

Q. ガイドラインを守らない業者に依頼したら、依頼者が罰せられますか?

A. ガイドライン自体に罰則はないため、それだけで罰せられることはありません。ただし条例のある地域で条例に違反した場合や、遺骨の扱いが刑法第190条の「遺棄」にあたると判断された場合は別です。

Q. 個人で散骨する場合も、このガイドラインに従う必要がありますか?

A. 文書としては「散骨事業者向け」です。ただし場所・焼骨の形状・周囲への配慮は、個人が行う場合でも同じ問題が起こります。判断の基準としてお使いください。

Q. ガイドラインはいつ改定されましたか?

A. 2021年3月の公表以降、改定された版は確認できていません。PDFのタイトル情報には「210330散骨事業者向けガイドライン」と記録されています。

Q. 海岸からどのくらい離れれば散骨してよいのですか?

A. ガイドラインは「海岸から一定の距離以上離れた海域」とするのみで、具体的な距離を示していません。地理条件と利用状況を踏まえて事業者が設定します。依頼先に直接確認してください。

Q. 散骨証明書には何が書かれていますか?

A. 散骨を行ったことを証する書面です。記載事項はガイドラインで定められていないため、事業者によって異なります。日時・海域・散骨した方のお名前が入るのが一般的です。

まとめ

  • 「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」は、2021年3月に厚生労働科学特別研究の報告書として公表されたもの。法律ではなく罰則もない
  • ただし散骨について国が示した唯一のまとまった文書であり、業者選びの基準として使える
  • とくに約款の公表・費用の明細書・散骨証明書の交付は、利用者が外から確認できる項目

出典

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散骨のご相談を承っています

周南海洋散骨センターでは、瀬戸内海での散骨をお手伝いしています。ご遺骨のお引き取り、粉骨のみのご依頼にも対応しています。

ガイドラインの内容について「この業者は大丈夫か」といったご相談も、他社のことであってもうかがっています。判断の材料になれば十分です。

公式サイト: 周南海洋散骨センター / 樹木葬あじさい霊園 / 運営: 株式会社原田屋

お電話: 0120-976-864

監修: 株式会社原田屋(山口県周南市・創業108年)

最終更新日: 2026-08-16

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