宗派で墓じまいの費用は変わる?変わるのはお布施だけです

しおん樹木葬2026年08月17日

墓じまいの費用のうち、宗派によって変わるのは「お寺にお渡しする部分」だけです。墓石の解体・撤去工事も、市役所の改葬許可も、新しい納骨先の費用も、宗派とは関係ありません。

そして、その「お寺にお渡しする部分」——閉眼供養などのお布施と離檀料——には、定価も公的な統計も存在しません。 インターネットには「天台宗は◯万円」「曹洞宗は◯万円」という相場表が並んでいますが、その根拠はどこにも示されていません。

この記事でわかること

  • 墓じまいの費用のうち、どこが宗派で変わるのか
  • 宗派別の相場表が当てにならない理由(宗派の公式見解つき)
  • 菩提寺に、いくら包むかを尋ねる具体的な方法

私たちは山口県周南市で樹木葬あじさい霊園を運営しています。墓じまいをして当園へ移られる方から、この質問をよく受けます。

墓じまいの費用は、何でできていますか?

まず分解します。

墓じまいの費用の内訳と、宗派で変わる部分

このうち宗派で変わるのは、下の2つだけです。上の3つは、どの宗派でも同じ理屈で決まります。

宗派と関係のない費用

墓石の解体・撤去工事費は、石材店の工事費です。金額を左右するのは、区画の広さ、墓石の大きさ、そして重機が入れるかどうか。山の斜面にあって人力で下ろすしかない区画は、平地の倍以上かかることがあります。宗派は一切関係しません。

改葬許可の手続きも同じです。周南市の改葬許可申請の手数料は無料です。下松市・光市の窓口と必要書類は改葬許可申請のやり方にまとめました。

新しい納骨先の費用は、どこを選ぶかの問題です。永代供養墓・樹木葬・納骨堂・手元供養——宗派ではなく、選択によって決まります。

実際の総額はどうかというと、株式会社鎌倉新書の「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)」では、「31万円〜70万円」が31.3%でもっとも多く、「30万円以下」が16.8%、「151万円以上」も14.0%でした。この幅を生んでいるのは宗派ではなく、区画の条件と、移転先の選択です。

「〇〇宗の墓じまいは◯万円」は、なぜ当てにならないのですか?

理由は3つあります。

1. 公的な統計が存在しない

お布施の金額を集計した公的統計はありません。ネット上の相場表は、出典が書かれていないか、特定の事業者が集めた利用者アンケートです。全国を代表する数字ではありません。

2. 宗派自身が「金額に決まりはない」と言っている

真宗大谷派(東本願寺)は、公式サイトでこう説明しています。

「御布施」は読経料などといった対価ではなく、仏さまの教えに会い得た喜びの心を表現したものであり、本来金額にも決まりはない

対価ではない、というのが要点です。サービスの値段ではないので、宗派ごとの価格表は原理的に存在しません。

3. 同じ宗派でも、寺院ごとに違う

お布施を決めるのは宗派本山ではなく、個々の寺院とご門徒の関係です。同じ真言宗でも、隣り合った2つのお寺で慣行が違うことは普通にあります。

つまり、「宗派で調べる」という調べ方そのものが、答えにたどりつかない道なのです。調べるべき相手は宗派ではなく、ご自身の菩提寺(ぼだいじ)です。

浄土真宗では「魂抜き」と言いません

宗派で変わるのは金額よりも、考え方と呼び方です。ここは知らないと失礼になりかねません。

宗派による考え方の違い

多くの宗派では、墓じまいの前に閉眼供養(へいがんくよう)を行います。「魂抜き」「お性根抜き」とも呼ばれます。

浄土真宗は、この考え方を取りません。

浄土真宗本願寺派は、新しいお仏壇にご本尊を迎える法要について、僧侶が仏さまの「魂」を入れるのではなく、仏さまをお迎えしたことを喜び、そのお徳を讃える法要であると説明しています。そして「お魂入れ」「お性根入れ」とは言わず、「入仏法要」もしくは「入仏式」と言うと明記しています。

背景にあるのは、亡くなった方はすでに阿弥陀仏の救いによって浄土に生まれ、仏になっておられるという教えです。だから「魂を入れる」「抜く」という発想がありません。

お墓についても、真宗大谷派は「亡くなった方にお願いごとをする場ではなく、南無阿弥陀仏とお念仏を申し、ともに仏法をいただく場」としています。

山口県は浄土真宗のご門徒が多い土地です。 石材店やネット記事の言うとおりに「魂抜きをお願いします」と菩提寺に伝えると、話が噛み合わないことがあります。法要の呼び方は寺院によっても異なりますので、「墓じまいをしたいので、お参りをお願いしたい」と伝えるのが確実です。

なお真宗大谷派は、墓相や方角の吉凶について「仏教とは関係のない迷信」と明記しています。「この方角に移すと悪い」といった説明で高額な費用を求められたら、それは宗教上の理由ではありません。

では、いくら包めばよいのですか?

菩提寺に直接尋ねてください。失礼にはあたりません。

尋ね方には、少しコツがあります。

  • 「墓じまいのお参りをお願いしたいのですが、お布施はどのくらいお包みすればよいでしょうか
  • 「お気持ちで」と返されたら → 「同じ地域の方は、どのくらいが多いでしょうか
  • それでも決まらなければ → 「◯万円で失礼にあたりませんでしょうか」と数字を出して確認する

3つ目まで行けば、たいてい具体的な答えが返ってきます。金額を言わずに当日を迎えるのが、いちばん気まずい進め方です。

あわせて、次の2つはお布施とは別の封筒にします。

  • お車代 … 僧侶に足を運んでいただく場合
  • 御膳料 … 会食を辞退された場合

表書きは「御布施」が一般的です。ただし浄土真宗では「回向料」「読経料」「供養料」といった表書きを用いません。 対価ではないという考え方によるものです。

離檀料は、宗派で決まっていますか?

決まっていません。そもそも離檀料という言葉は、法律にも宗派の規則にも出てきません。

「墓地、埋葬等に関する法律」にも、その施行規則にも、離檀料という言葉は一度も登場しません。支払いを法的に強制することは、原則としてできないとされています。

詳しくは離檀料の相場と支払い義務は?お寺への伝え方にまとめました。国民生活センターに寄せられた相談件数のデータも載せています。

墓じまいのあと、遺骨はどこへ移しますか?

同じ鎌倉新書の調査では、改葬先としてもっとも多かったのは永代供養(合祀・合葬墓)の43.2%、次いで樹木葬が24.1%でした。一般墓から一般墓へ移す方は14.3%と少数派です。

移転先の選び方は墓じまいの後、遺骨はどうする?4つの選び方を比較をご覧ください。

ここでも宗派は制約になりにくくなっています。 樹木葬や永代供養墓は宗旨・宗派を問わない霊園が多く、当園も問いません。「実家が浄土真宗だから樹木葬には入れない」ということはありません。

よくあるご質問

Q. 天台宗と真言宗で、墓じまいの費用は違いますか?

A. 工事費と行政手続きは同じです。違いが出るとすれば閉眼供養などのお布施ですが、これは宗派ではなく個々の寺院の慣行で決まります。同じ宗派でも寺院ごとに異なります。

Q. 檀家ではありません。それでも閉眼供養は必要ですか?

A. 公営墓地や民営霊園で、寺院との関係がない場合は、法要なしで進めることもできます。石材店が「必ず必要」と言う場合は、それが宗教上の要請なのか、その業者の慣行なのかを確認してください。

Q. 浄土真宗ですが、石材店に「魂抜きが必要」と言われました。

A. 浄土真宗では「魂を抜く」という考え方を取りません。ただし、墓じまいにあたってお参りをすること自体は行われます。呼び方が違うだけで、法要をお願いすること自体は自然です。 菩提寺に「墓じまいのお参りをお願いしたい」と伝えてください。

Q. お寺と長く連絡を取っていません。いきなり墓じまいの話をしてよいですか?

A. まず「ご相談したいことがある」とだけお伝えください。いきなり「墓じまいします」と切り出すと、こじれることがあります。順番についてはお盆に家族でお墓の話を切り出すにはでも触れています。

Q. 費用を抑えるには、どこを削ればよいですか?

A. 削れるのは工事費と移転先の費用です。複数の石材店から見積もりを取ってください。 区画の条件が同じでも金額は変わります。お布施を値切るという発想は、後の関係を考えるとおすすめしません。

まとめ

  • 墓じまいの費用のうち宗派で変わるのは、閉眼供養などのお布施と離檀料だけ。工事費・行政手続き・移転先の費用は宗派と無関係
  • お布施に公的な統計はなく、真宗大谷派は公式に「本来金額にも決まりはない」としている。宗派別の相場表は根拠を持たない
  • 浄土真宗では「魂抜き」「お性根抜き」と言わない。 山口県は門徒が多いため、伝え方に注意

出典

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樹木葬あじさい霊園では、ご見学の際に使用規則の現物をお見せしています。宗旨・宗派は問いません。お寺への説明材料としてお持ち帰りいただけます。

樹木葬あじさい霊園(山口県周南市下上2215-1・岩屋寺に隣接/JR新南陽駅から車で約9分)

公式サイト: 樹木葬あじさい霊園 / 運営: 株式会社原田屋

お電話: 0120-976-864

監修: 株式会社原田屋(山口県周南市・創業108年)

最終更新日: 2026-08-17

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