お墓の名義変更は4ステップ|届出先・必要書類・費用の目安
しおん2026年09月04日
お墓の名義変更は、市役所の戸籍の窓口ではなく、そのお墓を管理している「墓地の管理者」に届け出ます。
手続きは大きく4ステップ。公営霊園の手数料は、下関市営墓地で200円、都立霊園で2,000円という実例があります(下関市・東京都公園協会の公表資料。都立霊園の手数料は令和8年4月現在)。
そしてお墓に相続税はかかりません。 相続税法12条1項2号が非課税財産として挙げる「墓所、霊びよう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」にあたるからです。
この記事でわかること
- 届出先は誰か(市役所・法務局との違い)
- 必要書類と手数料の実例(周南市・下関市・東京都)
- 相続税がかからない根拠条文と、新しい名義人が決まらないときの進め方
お墓の名義変更は、どこに届け出るのですか?
届け出る相手は墓地の管理者です。管理者が誰かは、墓地の種類で変わります。
公営墓地の場合は、その市町村の担当課です。
民営霊園の場合は、霊園の管理事務所や運営法人です。
寺院墓地の場合は、そのお寺です。
役所に死亡届を出しても、墓地の名義は自動では変わりません。 死亡届と墓地の名義変更は、まったく別の手続きです。
不動産の相続登記とも別物です。一般的な霊園や寺院墓地の権利は「墓地使用権」であり、法務局に登記するものではありません。
周南市の場合は、市営墓地の使用者が亡くなったときに「墓地使用承継許可申請書」を市の環境政策課へ提出する、と案内されています。
なお、田舎の共同墓地などで土地そのものが個人名義になっている場合は、土地の登記の扱いが別に生じます。管理者と法務局にご確認ください。
新しい名義人になれるのは誰ですか?
お墓は、預貯金のように相続人で分ける財産ではありません。祭祀主宰者(さいししゅさいしゃ)が1人で承継するのが原則です。
根拠は民法897条です。
系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
つまり、決まり方には順番があります。
まず、故人の指定があれば、その人です。
指定がなければ、慣習に従う人です。
慣習が明らかでないときは、家庭裁判所が定めます(民法897条2項)。
条文のどこにも「長男」とは書かれていません。長女でも、次男でも、配偶者でも構いません。 この点は「お墓は長男が継ぐもの」はもう古い?で詳しく整理しています。

祭祀財産は相続財産とは別枠で扱われるため、相続放棄をした人が祭祀承継者になることもあります。 判断に迷う場合は、弁護士や税理士にご確認ください。
ただし、霊園側が承継者の範囲を規定していることがあります。都立霊園では「祭祀主宰者であること」に加えて「原則として使用者の親族であること」が条件とされています。
手続きは4ステップです

1. 承継する人を決める
家族で話し合い、1人に決めます。 ここが決まらないまま管理者へ行っても、手続きは進みません。
2. 墓地の管理者に連絡する
様式は墓地ごとに違います。 「承継許可申請書」「地位承継届出書」「名義変更届」など、呼び方も書式もばらばらです。
先に電話で、必要書類・手数料・受付窓口の3点を聞いておくと、二度手間になりません。
3. 書類をそろえる
戸籍謄本や住民票は、市区町村の窓口かコンビニ交付で取得します。「本籍・続柄入り」など、指定があることが多いので、指示どおりに取ってください。
4. 提出して、新しい許可証を受け取る
手数料を払い、名義が書き換えられた墓地使用許可証を受け取ります。この許可証は、次の代の承継手続きでも必要になります。 大切に保管してください。
厚生省(現・厚生労働省)が都道府県などへの通知で示した雛形「墓地使用に関する標準契約約款」(生衛発第1764号・平成12年12月6日 別添2)7条でも、承継者はすみやかに地位承継届出書に住民票の写しを添えて経営者に届け出るものとされています。
法律そのものではなく、参考として示された雛形です。
必要書類は何ですか?
墓地によって差はありますが、求められるものはおおむね共通しています。
承継の申請書・届出書は、様式が墓地ごとに異なります。
墓地使用許可証は、紛失したら再発行を依頼してください。
戸籍謄本は、死亡の記載と、続柄がわかるものを用意します。
承継者の住民票は、本籍・続柄入りを求められることが多いです。
印鑑登録証明書は、都立霊園では実印とあわせて必要です。求められない墓地もあります。
同意書・誓約書は、名義人が存命の場合や、親族間の確認用です。
周南市営墓地では「墓地使用承継許可申請書」「墓地使用許可証」「承継者の世帯全員の住民票(本籍・続柄入)」「戸籍謄本」の4点が案内されています。
下関市営墓地では、これに同意書(使用者が死亡の場合は不要)が加わります。
費用はいくらかかりますか?
公営霊園の手数料は、実例で見るとこうなっています。
周南市営墓地は、周南市 環境政策課に届け出ます。手数料は公表されていません(窓口へ要問い合わせ)。
下関市営墓地は、下関市 生活安全課に届け出ます。手数料は200円です。
都立霊園は、東京都公園協会に届け出ます。手数料は2,000円です。
都立霊園ではこのほかに、返送用の郵便切手530円分が案内されています(令和8年4月現在)。
民営霊園や寺院墓地の手数料は、公表されていないことがほとんどです。 地域や運営者によって幅がありますので、そのつど確認してください。
これとは別に、戸籍謄本・住民票・印鑑登録証明書の取得費用がかかります。金額は市区町村ごとに定められていますので、お住まいの窓口でご確認ください。
寺院墓地の場合は、檀家としての立場も一緒に引き継ぐことになります。護持会費やお付き合いの内容を、この機会に聞いておかれると安心です。
相続税はかかりますか?
かかりません。
相続税法12条1項2号は、非課税財産としてこう定めています。
墓所、霊びよう及び祭具並びにこれらに準ずるもの
国税庁の通達(相続税法基本通達12-1)では、「墓所、霊びょう」には墓地・墓石のほか、その尊厳の維持に必要な土地なども含むと整理されています。
同12-2では、「これらに準ずるもの」に仏壇・位牌・仏像・仏具などが挙げられています。国税庁のタックスアンサーでも「墓地や墓石、仏壇、仏具」は相続税がかからない財産として案内されています。
つまり、名義変更をしても、お墓そのものは相続税の課税価格に入りません。 遺産分割協議の対象にもなりません(ほかの財産についての相続税の申告義務とは、別の話です)。
ただし、注意点が2つあります。
1つ目。骨とう的価値があるものや、投資・商品として持っているものは非課税になりません。 相続税法基本通達12-2に明記されています。
2つ目。生前に買ったお墓の未払い代金は、債務控除できません。 相続税法13条3項が、非課税財産の取得のために生じた債務は控除しないと定めているためです。
生前にお墓を用意される場合は、支払いまで済ませておくかどうかが、相続税の計算では違いになります。 個別の判断は税理士にご確認ください。
名義人が決まらないときは、どうしますか?
話し合いがつかない場合、家庭裁判所に決めてもらえます。 民法897条2項が根拠です。
手続きの名称は、相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定です(家事事件手続法 別表第二の11の項)。
申立先は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所です(同法190条1項)。
申立手数料は収入印紙1,200円です(民事訴訟費用等に関する法律 別表第一 一五の二の項)。
ほかに、連絡用の郵便切手が必要です。
申立てそのものにかかる費用は、大きな金額ではありません。まず調停で話し合い、まとまらなければ審判という流れが一般的です。
そもそも引き継ぐ人が見つからない場合は、承継を前提としない形に切り替える選択肢があります。お墓の跡継ぎ・継承者がいないときの選び方をご覧ください。
名義変更を先延ばしにすると、何が困りますか?
法律に「いつまでに」という期限はありません。ですが、放置には具体的な不利益があります。
1. 管理料の請求が届かなくなる
請求先が亡くなった方のままだと、通知が届きません。気づかないうちに未納が積み上がります。
先ほどの標準契約約款9条2項も、一定年数の管理料未納を契約解除の事由として挙げています。年数は墓地ごとに規定されています。
2. 無縁墳墓として扱われる可能性がある
使用契約が解除され縁故者がいない状態になると、墓地埋葬法施行規則3条の手続きに進むことがあります。
具体的には、官報への掲載と、墓地への立札の1年間の掲示を経て、申し出がなければ改葬の許可を申請できるという定めです。その先で、墓石の撤去やご遺骨の合葬につながることがあります。
3. 納骨や工事の許可が下りない
新たに納骨したい、墓石を建て替えたいというとき、名義人でないと申請できないことがあります。四十九日や一周忌の直前に気づくと、間に合わないことがあります。
お墓そのものをたたむと決めているなら、名義変更をせずに墓じまいへ進めるかどうかも、あわせて管理者に確認してください。
よくあるご質問
Q. 名義変更に期限はありますか?
A. 法律上の期限はありません。ただし管理料の請求先が変わらないままになるため、納骨や法要の予定がある方は、四十九日前後を目安に済ませておかれると安心です。
Q. 墓地使用許可証をなくしました。
A. 管理者に再発行を依頼できます。別途、手数料や紛失届が必要になることがあります。手続き前に確認してください。
Q. 名義人を2人にできますか?
A. できないのが一般的です。祭祀財産は1人が承継するという考え方が民法897条の前提だからです。共同名義を認めるかは、墓地の規定によります。
Q. きょうだいで話がつきません。
A. 家庭裁判所に祭具等の承継者の指定を申し立てられます。申立手数料は収入印紙1,200円です。まず調停で話し合う形になります。
Q. 遠方に住んでいても承継できますか?
A. 墓地の規定によります。遠方でも承継できるところはありますが、市内在住の代理人の選定を求めるところもあります。周南市営墓地では、使用者が市外へ転出した場合に市内在住の代理人を選ぶよう案内されています。
Q. 相続放棄をしましたが、お墓は継げますか?
A. 祭祀財産は相続財産と別枠で扱われるため、継げる場合があります。 ただし個別の事情によりますので、弁護士や税理士にご確認ください。
まとめ
- 届出先は墓地の管理者。市役所の戸籍窓口でも法務局でもありません
- 継ぐのは祭祀主宰者1人。順番は「故人の指定 → 慣習 → 家庭裁判所」(民法897条)
- お墓は相続税がかかりません(相続税法12条1項2号)。手数料は公営で200円〜2,000円の実例
出典
- e-Gov法令検索「民法」897条
- e-Gov法令検索「相続税法」12条・13条
- 国税庁「〔墓所、霊びょう、祭具等関係〕相続税法基本通達12-1・12-2」
- 国税庁 タックスアンサー No.4108 相続税がかからない財産(令和7年4月1日現在法令等)
- 厚生省生活衛生局長「墓地経営・管理の指針等について」(生衛発第1764号・平成12年12月6日)別添2 墓地使用に関する標準契約約款(厚生労働省サイト)
- e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」3条
- e-Gov法令検索「家事事件手続法」190条・別表第二
- e-Gov法令検索「民事訴訟費用等に関する法律」別表第一
- 周南市「市営墓地使用の手引き」
- 下関市「市営墓地の諸手続について」
- 公益財団法人東京都公園協会「名義変更の手続きについて」
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お電話: 0120-976-864(株式会社原田屋・山口県周南市本町2丁目15)
監修: 株式会社原田屋(山口県周南市・創業108年)
最終更新日: 2026-09-04

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