海洋散骨は自分でできる?個人で行う手順と4つの壁

海洋散骨2026年09月05日

海洋散骨を自分で行うこと自体を、禁止する法律はありません。

ただし実際に段取りを始めると、粉骨・船・海域・近隣配慮の4か所で止まります。

なかでも大きいのが船です。お金を受け取って人を運ぶ船には、海上運送法にもとづく国土交通大臣の許可または登録が要ります(海上運送法 第21条・第22条)。ここが個人でいちばん詰まる点です。

この記事でわかること

  • 自分で海洋散骨を行う場合の6つの手順
  • どこまで自分でできて、どこから業者が要るか
  • 全部を自分でやらずにすませる折衷案

個人が散骨しても、法律違反にはなりませんか?

散骨そのものを直接禁じる法律はありません。この点は、業者でも個人でも同じです。

ただし、押さえておく点が2つあります。

1つ目は、厚生労働省のガイドラインが「散骨事業者向け」であること。

2021年(令和3年)3月に公表されたこの文書は、令和2年度厚生労働科学特別研究事業「墓地埋葬をめぐる現状と課題の調査研究」の研究報告書として示されたもので、業として散骨を行う事業者に向けた内容です。個人に直接かかる規制ではありません。

とはいえ、粉骨の程度や場所の選び方といった中身は、そのまま個人にもあてはまります。

国が示したまとまった目安としては現在これが中心ですので、自分でやる場合もこれを物差しにすると考えやすくなります。全項目は厚生労働省「散骨に関するガイドライン」8項目を解説にまとめています。

2つ目は、条例です。

散骨を規制する条例を持つ自治体は、全国で16あります(一般財団法人地方自治研究機構調べ・2026年4月1日現在)。
同機構は内容を4タイプに整理しています。

散骨そのものを禁止するものは、3団体(北海道長沼町・宮城県松島町・熊本県南阿蘇村)です。
原則禁止とするものは、2団体(埼玉県秩父市・鹿児島県伊佐市)です。
散骨場の設置を規制するものは、10団体(長野県諏訪市・静岡県熱海市など)です。
原則禁止と散骨場規制の両方を行うものは、1団体(北海道岩見沢市)です。

山口県内には、同機構の一覧に載っている自治体はありません。

なお、条例ではなく要綱やガイドライン、指針で散骨を扱っている自治体もあります(同機構の紹介では北海道七飯町・静岡県熱海市・静岡県伊東市)。「条例がない=何も決まりがない」ではないとお考えください。

法律そのものの整理は海洋散骨は違法?法律とルールを解説に書いていますので、ここからは手順の話に進みます。

自分でやるとしたら、手順はどうなりますか?

自分で海洋散骨を行う場合の6ステップ

大きく6つです。

手順1は、ご遺骨を手元に用意することです。
つまずきやすいのは、お墓にある場合の取り出しの手続きです。

手順2は、粉骨することです。
つまずきやすいのは細かさで、1〜2mm程度までにし、骨と分かる形は避けます。

手順3は、散骨海域を決めることです。
つまずきやすいのは場所選びで、陸から1海里以上離れ、漁場・航路を外します。

手順4は、船を手配することです。
つまずきやすいのは、許可・登録のある船かどうかです。

手順5は、当日の準備です。
つまずきやすいのは、服装、献花の包装、時間帯です。

手順6は、散骨位置を記録することです。
これは、後日のお参りのためです。

順に、詰まりやすいところを見ていきます。

壁1|粉骨は自分でできますか?

できます。 粉骨そのものを禁じる法律はありません。

ただし、細かさに目安があります。一般社団法人日本海洋散骨協会のガイドラインでは、遺骨と分からない程度(1mm〜2mm程度)に粉末化するとされています。

厚生労働省のガイドラインも「焼骨は、その形状を視認できないよう粉状に砕くこと」と求めています。

手作業でここまで細かくするのは、想像よりも骨が折れます。

火葬後のご遺骨には、棺の釘や医療用の金具が混じっていることがあります。

粉じんが立つため、屋内では作業しにくい面があります。
湿気を含んでいることが多く、乾燥させないと粉になりにくい面もあります。

なにより、ご家族がご自分の手で砕くという作業そのものが重いものです。

道具をそろえて始めてはみたものの、途中で手が止まってしまう——起こりうることとして、あらかじめ想定しておかれるとよいと思います。

粉骨だけを業者に頼むこともできます。費用は方式(持ち込み・郵送・立会い)や地域によって幅がありますので、粉骨とは?費用と方法をご覧ください。

壁2|船はどう手配すればいいですか?

ここが最大の関門です。

お金を受け取って人を運ぶ船には、海上運送法にもとづく国の手続きが要ります。船の大きさと事業の形で、2つに分かれます。

1つは、旅客不定期航路事業です。
旅客定員13人以上の旅客船で、起点と終点が一致する寄港地のない一定の航路を運航するもので、港内遊覧船などがあたります。

こちらは許可制です。
「旅客不定期航路事業を営もうとする者は…国土交通大臣の許可を受けなければならない」とされています(海上運送法 第21条第1項)。

もう1つは、一般不定期航路事業です。
旅客定員12人以下の船で人を運ぶ場合など、それ以外で人の運送をするものです。

こちらは登録制です。
「一般不定期航路事業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を受けなければならない」とされています(同 第22条第1項)。

散骨で使うような小型の船は、多くが後者にあたります。この区分は、2025年(令和7年)4月1日に届出制から登録制へ変わりました(国土交通省 関東運輸局)。

それ以前の「届出でよい」という情報を載せたままのページも残っていますので、ご注意ください。

つまり、近所の漁船に「少し沖まで出してほしい」と現金でお願いする——これは、船を出す側を難しい立場に置いてしまうことがあります。

釣り船(遊漁船)も釣りのための事業ですので、散骨での乗船を引き受けてくれるとは限りません。

厚生労働省のガイドラインも、散骨事業者が遵守すべき関係法令として、墓地埋葬法・刑法・廃棄物処理法・民法とならべて海上運送法を名指ししています。

ご自身やご家族の船を使い、料金を受け取らない場合は、有償で人を運ぶ事業にあたらないため、海上運送法の許可・登録の対象にはなりません。ただし別の決まりがあります。

1つ目は、ライフジャケットの着用義務です。
2018年(平成30年)2月から、小型船舶の乗船者は原則としてすべて対象です(適用除外あり)。

着用させなかった場合、船長に違反点数2点が付き、再教育講習の受講が必要になります(国土交通省)。

2つ目は、定員を超えて乗せないことです。
ご親族が集まると、小型船ではすぐ定員に達します。

3つ目は、出航する港についてです。
漁港でのプレジャーボートの受け入れは、漁港管理者(都道府県または市町村)が漁業に支障のない範囲で認めているものです。

どの港からでも自由に出せるわけではありません(水産庁)。

そして当日の天候の判断も、ご自身で背負うことになります。

壁3|どこの海なら撒いていいですか?

「沖に出れば大丈夫」ではありません。

日本海洋散骨協会のガイドラインでは、人が立ち入ることができる陸地から1海里(約1.85km)以上離れた海域とされ、次の場所は禁止されています。

  • 河川、滝、干潟、河口付近
  • ダム、湖、沼地
  • 海岸・浜辺・防波堤とその近辺
  • フェリー・遊覧船・交通船など、一般の船客がいる船舶の上

同ガイドラインは、漁場・養殖場・航路を避けることも求めています。海水浴場のように人が集まる海面も、あわせて外すのが実務上の判断です。

海図と、地元の漁業の実情がわからないと、ここは難しいところです。瀬戸内海のように航路と漁場が入り組んだ海では、なおさらです。

条例や要綱のある地域では、その決まりが優先します。出かける先の自治体を、事前にご確認ください。

壁4|近隣への配慮は、何をすればいいですか?

見落とされがちですが、話がこじれるのはたいていここです。

喪服は避けます。 平服が通例です。
喪服の一団が船に乗り込む光景は、周囲の方を不安にさせます。

献花は包装を外します。 セロハン、リボン、造花、金属は海に還りません。

「何人も、海域において、船舶から廃棄物を排出してはならない」と定められています(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律 第10条第1項。一定の例外あり)。

厚生労働省のガイドラインも、プラスチックやビニールを原材料とする副葬品の投下を避けるよう求めています。

献花の量も控えめにします。 大量の花は、それ自体が海への負担になります。

時間帯を選びます。 人の出入りが多い時間や、海水浴の時期の日中は避けます。

骨壺は海に沈めません。 持ち帰って処分します。

漁業や観光で成り立っている地域では、散骨が行われているという話そのものが、敏感に受け取られることがあります。地元の海だからこそ、気を配る必要があります。

どこまで自分でできて、どこから業者が要りますか?

工程ごとの、自分でやる場合と業者に頼む場合の違い

整理すると、こうなります。

ご家族だけで決められること

  • 散骨する日を決める
  • 献花や、当日お供えするものを選ぶ
  • ご遺骨の一部を手元に残すかどうかを決める
  • 粉骨(道具と体力、そして気持ちの余裕があれば)

業者が要る、または要る可能性が高いこと

  • 人を乗せて沖へ出る船(海上運送法の許可・登録)
  • 海域の選定(海図・漁場・航路の知識)
  • 散骨位置の記録
  • 荒天時の判断と、延期の段取り

なお、お墓に納めてあるご遺骨を取り出す場合は、墓地の管理者から改葬許可証の提示を求められることがあります。

一方で墓地埋葬法の「改葬」は「埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」と定義されており(墓地、埋葬等に関する法律 第2条第3項)、散骨はこれにあたりません。

そのため自治体によって扱いが分かれます。周南市・下松市・光市の窓口は改葬許可申請のやり方にまとめました。

全部を自分でやらない、という選び方

費用を抑えたいのが理由なら、分けて考える方法があります。

1つは、粉骨だけ業者に出し、散骨は代行に任せる方法です。
代行散骨にして、後日ご家族で海の見える場所に集まる方法もあります。
一部だけ散骨し、残りは手元供養や樹木葬に納めることもできます。

当センター(周南海洋散骨センター・株式会社原田屋)の場合、代行(委託)散骨は60,000円(税抜・税込66,000円)〜です。
貸切(チャーター)は150,000円(税抜・税込165,000円)〜です。
粉骨・献花・写真撮影・骨壺の処分まで含みます。

散骨した海域の位置は記録してご報告します。後日あらためて海へお参りいただくメモリークルーズもご用意しています。

船と海域という重い2つを外に出せば、残りはご家族で決められます。

よくあるご質問

Q. 自分で散骨したら、罪に問われますか?

A. 散骨を直接禁じる法律はありません。ただし条例で禁止・制限している地域があります。また、遺骨と分かる形のまま撒くことは、国のガイドラインが求める方法から外れます。出かける先の自治体を、事前にご確認ください。

Q. 骨壺のまま海に沈めてもいいですか?

A. 避けてください。「何人も、海域において、船舶から廃棄物を排出してはならない」と定められています(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律 第10条第1項)。ご遺骨は粉状にし、骨壺は持ち帰って処分します。

Q. 粉骨は自分でやってもいいのですか?

A. 違法ではありません。ただし1mm〜2mm程度まで細かくする必要があり、手作業では負担が大きいため、粉骨だけを業者に頼まれる方も多くいらっしゃいます。

Q. 家族が船を持っています。それなら許可は要りませんか?

A. 有償で人を運ぶ事業にあたらなければ、海上運送法の許可・登録は要りません。ただしライフジャケットの着用義務や定員、出航する港の使用条件は守る必要があります。判断に迷う場合は、地方運輸局の窓口にご確認ください。

Q. 山口県に、散骨を禁止する条例はありますか?

A. 2026年4月1日時点で、山口県内に散骨規制条例を設けている自治体はありません(一般財団法人地方自治研究機構調べ)。ただし、条例がないことと、どこでも撒いてよいことは別です。

まとめ

  • 自分で海洋散骨を行うこと自体は、禁止されていません
  • 詰まるのは粉骨・船・海域・近隣配慮の4か所。とくに有償で人を乗せる船には、海上運送法の許可か登録が必要
  • 全部を自分でやる必要はありません。 粉骨だけ、船だけを任せる分け方ができます

出典

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▼「どこまで自分でやれますか」というご相談から、大丈夫です

周南海洋散骨センター 公式サイト

お電話: 0120-976-864(株式会社原田屋・山口県周南市本町2丁目15)

監修: 株式会社原田屋(山口県周南市・創業108年)
最終更新日: 2026-09-04

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