海洋散骨の海域の選び方|避ける3つの海と確認7項目
海洋散骨2026年09月14日
散骨する海域は、「海水浴場」「漁場・養殖場」「航路」の3つを外したうえで、陸地から十分に離れた沖合に決まります。
法律に「ここへ撒きなさい」と定めた条文はありません。国のガイドラインも距離を数字で示していないため、実際の海域は事業者が決めています。
だからこそ、申し込む前に確認しておくことがあります。
この記事でわかること
- 散骨海域で避ける3つの海と、その根拠
- 事業者に確認しておきたい7つのこと
- 散骨した場所の記録は残るのか(お墓との違い)
海域は、誰がどうやって決めているのですか?
事業者が決めています。
「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」は、海洋の場合の散骨場所をこう書いています。
② 海洋の場合 海岸から一定の距離以上離れた海域(地理条件、利用状況等の実情を踏まえ適切な距離を設定する。)
具体的な距離は書かれていません。 「地理条件、利用状況等の実情を踏まえ適切な距離を設定する」——その海を知っている者が判断しなさい、という書き方です。
数字を示しているのは業界団体のほうです。一般社団法人日本海洋散骨協会のガイドラインは、「人が立ち入ることができる陸地から1海里以上離れた海洋上のみで散骨を行い、河川、滝、干潟、河口付近、ダム、湖や沼地、海岸・浜辺・防波堤やその近辺での散骨を行ってはいけません」としています。1海里は約1,852mです。
法令ではありませんが、事業者に尋ねるときの物差しになります。
ガイドラインの全項目は厚生労働省「散骨に関するガイドライン」とは|8項目を解説、法律の考え方は海洋散骨は違法?法律とルールにまとめています。
避けるのは、どの海ですか?

大きくは、次の3つです。あわせて日本海洋散骨協会のガイドラインは、河川、滝、干潟、河口付近、ダム、湖や沼地と、海岸・浜辺・防波堤やその近辺での散骨も行ってはいけないとしています。
① 海水浴場・人が集まる海面
日本海洋散骨協会のガイドラインは、加盟事業者に「漁場・養殖場・航路を避け、一般の船客から視認されないように努めなければいけません」と求めています。
海水浴場そのものは同ガイドラインに明記されていませんが、人が集まる海面という点で同じ配慮が要ります。
環境省がまとめた令和8年度の水浴場(開設前)水質調査では、調査結果を得た水浴場が全国731か所。うち山口県内は37か所です。
「泳ぐ人がいない季節なら」と考えたくなりますが、釣り・潮干狩りと、海に人が出る理由は夏だけではありません。
② 漁場・養殖場
海の上には、目に見えない権利の区域があります。
漁業法は漁業権を定置漁業権・区画漁業権・共同漁業権の3つに分け(第60条)、「漁業権は、物権とみなし、土地に関する規定を準用する」と定めています(第77条)。土地と同じ扱いの権利が、海面に設定されているということです。
山口県では、県の水産振興課が漁場計画書と漁業権連絡図を公開しています。共同漁業権・区画漁業権・定置漁業権の、おおよその位置と区域を確認できます。
厚生労働省のガイドラインも、配慮すべき相手として漁業者を名指ししています。
③ 航路
瀬戸内海は、船の多い海です。
海上交通安全法は、船舶交通がふくそうする海域に特別の交通方法を定めた法律で、別表に11本の航路が挙げられています。うち7本は所在海域が「瀬戸内海のうち…」と書かれており、明石海峡航路を加えると8本が瀬戸内海に集中しています。
ただし、この11航路は東京湾・伊勢湾・瀬戸内海の一部に置かれたもので、山口県沖には設定されていません。 避けるべき「航路」は、法定の航路だけを指すのではなく、その海で実際に船が通っている道のことです。地元の海の事情がものを言うのは、このためです。
港の中は別の法律です。港則法第11条は、汽艇等以外の船が特定港に出入りし、または通過するときは国土交通省令で定める航路によらなければならないとしています(海難を避けようとする場合など、やむを得ない事由のある場合を除きます)。
通航量も相応です。環境省の資料では、令和2年に瀬戸内海の主要狭水道でもっとも通航が多かったのは明石海峡の1日平均615隻。瀬戸内海の入港船舶総トン数と港湾貨物取扱量は、全国の約38〜41%を占めます。
「沖に出れば大丈夫」ではないのは、このためです。個人で行う場合の壁は海洋散骨は自分でできる?個人で行う手順と4つの壁で扱っています。
当日、予定の海域が変わることはありますか?
あります。
海域は事前に決めますが、当日の風・波・視程・潮の流れによっては、安全のために位置をずらす、あるいは出航自体を見合わせることがあります。
ですから「この一点で」という約束は、海の上では成り立ちにくいものです。候補日を2つ持っておくと、予定が崩れにくくなります。
延期の扱いは契約によって違います。遠方のご親族が来られる場合はとくに、申し込み前にご確認ください(海洋散骨で後悔する5つの理由)。
事業者に、何を確認すればいいですか?

問い合わせのときに、そのまま尋ねていただいて構いません。
1つ目は、予定している海域はどのあたりか、地図で示せるかです。
2つ目は、陸地からどのくらい離れるかです。
3つ目は、漁場・養殖場をどう避けているかです。
4つ目は、航路との位置関係をどう確認しているかです。
5つ目は、荒天のときの代替海域と、延期の取り扱いです。
6つ目は、散骨証明書は出るか、緯度・経度は入るかです。
7つ目は、記録は何年保管されるか、後日お参りに行けるかです。
散骨海域を公式サイトで公表している事業者もあります。答えられるかどうかが、まず見るところです。
散骨した場所の記録は、残りますか?
ここが、お墓といちばん違うところです。
お墓には、法律上の記録義務があります。 墓地、埋葬等に関する法律第15条は、墓地の管理者に図面・帳簿・書類等を備えることを義務づけ、墓地使用者などから請求があったときは閲覧を拒んではならないとしています。
散骨には、この制度がありません。 海に区画はなく、公の台帳もありません。残るのは、事業者が作る記録だけです。
場所の示し方は、お墓では区画番号、散骨では緯度・経度です。
記録の根拠は、お墓では墓埋法第15条(法律)、散骨では事業者の証明書です。
閲覧は、お墓では請求を拒めませんが、散骨では契約によります。
お参りは、お墓ならいつでも行けますが、散骨では船で向かうことになります。
厚生労働省のガイドラインは、散骨後に「散骨を行ったことを証する散骨証明書を作成し、交付」することを求めています。
日本海洋散骨協会はさらに踏み込み、加盟事業者に対し、遺族から希望があった場合は緯度・経度を示した散骨証明書を交付すること、散骨した場所に関する情報を散骨実施後10年間保管することを定めています。
周南海洋散骨センターは瀬戸内海を主な海域としており、散骨した海域の位置を記録してご報告しています。その海域へ船で向かうメモリークルーズもご用意しています。海の上に、手を合わせる目印を持っていただく形です。
全部を撒くことに迷いがあるなら、一部を残す手元供養や、樹木葬あじさい霊園(周南市下上2215-1)と組み合わせる方法もあります。
あとから撒くことはできますが、あとから戻すことはできません。 迷いがあるうちは、残す側に倒しておくほうが安全です。
よくあるご質問
Q. 散骨する海域を、こちらから指定できますか?
A. ご希望として伺うことはできます。ただし漁場・航路・当日の海況によって調整が必要になりますので、確約はいたしかねます。お申し込み前にご相談ください。
Q. 思い出の浜辺のそばに撒きたいのですが。
A. 海岸・浜辺・防波堤とその近辺は、日本海洋散骨協会のガイドラインで散骨を行わないとされています。沖合から同じ景色を望む位置で、というご相談になります。
Q. 漁協の許可は要りますか?
A. 散骨そのものについて、国の許可制度はありません。ただし漁業権は物権とみなされる権利です(漁業法第77条)。漁場を避けることが前提になります。なお、散骨を規制する条例のある地域では、その条例が優先します。
Q. 緯度・経度がわかっても、自分では行けないのでは?
A. そのとおりです。ですから散骨した海域へ船でお参りするメモリークルーズをご用意しています。
Q. 山口県に、散骨を規制する条例はありますか?
A. 一般財団法人地方自治研究機構が公表している「散骨を規制する条例」の一覧(令和8年4月1日更新)に、山口県内の市町は掲載されていません。条例の有無にかかわらず、海水浴場・漁場・航路を避ける点は変わりません。条例の考え方は海洋散骨は違法?法律とルールにまとめています。
まとめ
- 散骨海域は海水浴場・漁場・養殖場・航路を外した沖合。国のガイドラインに距離の数字はなく、日本海洋散骨協会は「陸地から1海里以上」を基準にしています
- 瀬戸内海は海上交通安全法の11航路のうち8本が集まる海。事業者に予定海域・陸地からの距離・荒天時の扱いを確認してください
- 散骨に墓埋法第15条のような記録義務はありません。 残るのは散骨証明書と事業者の記録だけです
出典
- 「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」(令和2年度厚生労働科学特別研究事業「墓地埋葬をめぐる現状と課題の調査研究」研究報告書。厚生労働省サイト掲載)
- 一般社団法人日本海洋散骨協会「日本海洋散骨協会ガイドライン」
- 海上交通安全法(昭和47年法律第115号)第1条・別表
- 港則法(昭和23年法律第174号)第11条
- 漁業法(昭和24年法律第267号)第60条・第77条
- 墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第15条
- 山口県 水産振興課「漁業権について・共同漁業権、区画漁業権、定置漁業権(令和5年〜)」(2024年10月1日更新)
- 環境省「令和8年度水浴場(開設前)の水質調査結果について」(2026年6月30日公表)参考資料-1
- 環境省せとうちネット「海運等の現況」(令和2年の数値)
- 一般財団法人地方自治研究機構「散骨を規制する条例」(令和8年4月1日更新)
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お電話: 0120-976-864(株式会社原田屋・山口県周南市本町2丁目15)
監修: 株式会社原田屋(山口県周南市・創業108年)
最終更新日: 2026-09-07

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